2006年07月30日

はしがき近況ミニ超駄文

 これは、前の投稿でちょっと書いた「保留になっているブログ用文章」ではありません。さっき、1時間ちょっとで書いたものです。
 本当は30分ぐらい書いたら打ち止めするつもりだったのですが、面白かったので40分ぐらい書いてしまいました。そしたらオチがみっともなくなったので(並び替えたりしても不自然になるだけだと思ったので)オチへ向かって書き足すことになりました。で、結局1時間オーバーです。『なにやってんだろ』と思わないでもないですが、面白かったしリハビリになったし、いっか。

   *

・ブログが移転するかもしれません。

・禁煙するかもしれません。

・ワールドカップを見ていたら髪型を変えたくなりました。「こんな髪型を希望!」というアイデアがあれば文章でも絵でも送って下さい。採用は実現に代えさせて頂きます。実現は未定です。気が変わったら髪型は変わりません。なんですと。

・意味もなくあごひげを伸ばしています。アゴの毛根密集度が過疎状態なのでビシッとは決まりません。気が変わったら剃り落とします。それそれそれそれ。

・意味はありません。まに受けないように。悩まないように。

・耳たぶはひとが言うほどあまり柔らかくないと思うのですがどうなのでしょう。悩みました。5秒間だけ。

・ぬすっと猛々しい、などとよく言いますが、猛々しかったらそれはぬすっとではなく強盗だと思うのですがこの際どうでもよろしい。

・さいきん無言電話が増えました。「はい若原です」と出ると、何も言わずに1秒で切れます。誰なのでしょう。素早い人です。卓球しましょう。

・鬼とたたかう夢を見ました。鬼は、さすがに鬼だけあって、とても強かったです。

・耳を回せるようになりました。首を回せばいいのです。

・近所に、黒地に黄色い文字で「キリストの降臨は近い」と書いてあるホーロー看板ができました。害はないのですが驚きました。

・髪型コンペは、真面目にやれば話題集めやアクセス稼ぎになりそうなんですが、真面目にやることでは無いような気がします。お金が出るならやってもよろしい。

・森達也『ドキュメンタリーは嘘をつく』を読みました。いい本です。

・ポール・オースター『空腹の技法』を読みました。これもいい本です。

・IMEのユーザー辞書に「mixi」を登録しました。「みくしー」と「みくしい」と「みくしぃ」と「mixi」と「みぃ」です。二度手間ならぬ五度手間です。mixiも酷なお人です。「みぃ」が可愛いので許しましょう。

・名古屋から家に帰ってくると、いつもラーメンが食べたくなります。いつも食べられるわけではありません。ラーメンと私の微妙な距離が、それを許さないこともあるのです。

・先日メモ用紙が手元になかったので、煙草にメモしました。卒塔婆のようでした。吸ったら消えました。手品みたいです。

・小学生のころ、文集に好きな言葉として「未来」と書きました。今は好きではありません。嫌いでもありませんが。

・鳥が飛び立つところを見ると「それでいい」「もっと飛べ」と思います。べつに私の代わりに飛んでいるわけではないのに。

・空はどこにあるのでしょうね。上ですか。横ですか。空は、空にあるのですか。

・言い忘れましたが、耳を回しすぎると目も回ります。

・目には目を歯には歯を、などとよく言いますが、尻に尻を出したら変態だと思います。剣にはペンを。

・などと、こんなことなら即興で幾らでも書けるのですが、無用な才能という気がしないでもありません。また気が向いたら書きましょう。

   *


 これは、SNS『mixi』の、若原プロフィール文に添えるため書いたものです。
 今夜、ライブ予定などの告知を自己紹介文の下に書いたのですが……『文章の最後が告知だと、なんだか、やらしいな』って見えて。読者サービス……でもないんですが、まあ、くだけた、気の抜ける何かをつけておきたくなったのです。

 『ポエムバー』『短詩即興板』だと(波長の違いとか、長さの問題とかで)こういう文章って出しづらいんですけど。こう大量に集まると、ブログに乗っけられます……という許可が私の中で出ます。妙なもんです。
 とはいってもこの文章、やっぱりアラはあります。こうして見ると。終盤に急にセンチメンタルな傾向が強まってたり。読む人が読めばこんな文章でも「この作者、終盤でだんだん息切れしてきたのだな」とか見抜かれるんでしょうか。世の中にはすごい人がたくさんおられますからねえ。たとえば……。
 パッとは思いつかないんですけど、たぶん居るでしょう。えー。これをご覧になった名も知らぬ先生、すみません。小者だと思って大目に見てください。青梅街道をおめおめとお姫さまになってお茶目さんです。

 いや、だから、まに受けないでください。嗅ぎ抜けるのです夏を。借り受けるのですこの季節を!!! ……っと、またキリがなくなりそうなのでこの辺で。

   *

 あ、ブログの移転ですが考え中です。仮に移転した場合、ここは、少なくとも年内は残します。
posted by 若原光彦 at 01:01 | Comment(1) | TrackBack(0) | 超駄文

2006年07月22日

NIPAFアジア連続展に行ってきました

 ほかにも書けることはいろいろあるのだけれど。……というより溜まってるのだけれど、が正解かな。なにせ前回の記事が6月上旬だってんですからまあ……。
 6月以降に書いたものはいろいろあるんですけどね。いつも、出す直前になり読み返すと、手が止まっちゃうんですよね。『こんなもの出していいのか』って立ち止まってしまう。考えすぎなんでしょうね。あんまり深く考えずにパッと出しちゃやいいのかな。うー。

   *

 それはさておき。今日(もう昨日ですが)NIPAF(日本国際パフォーマンスアートフェスティバル。場や身体による芸術表現の団体)を見に行ってきました。
 ひさびさのアートパフォーマンス観覧でした。面白かったです。とても。いいものを見た。これはよかった。

 7名の方が出演されたのですが、1人目、ロナルド・アブリヤンさん(インドネシア、ジョグジャカルタ出身)のパフォーマンスはとてもよかった。
 会場の観客席から15人ほどを選び、前に立たされました。私も選ばれて立ちました。そして、ロナルドさんから紙を見せられました。日本語でこう書いてありました――

 ワインを口に含んで、

 吐き出してください

ロナルドの口に


――は? 「ロナルドの口に」を読み落としたため最初は『何のこっちゃ』と思ったのですが、よく見たらこりゃ、いや、やっぱり、何のこっちゃ?
 ロナルドさんからワインの入った紙コップを渡され、15人は次々に、それを口に含みました。そして、ひざまづいて口をあけているロナルドさんに、ワインを吐く。彼はそれを、飲む。『……ちょっと引けるなあ。吐いて飲ませるなんて、なんだか相手を侮辱してるみたいで』と思ったのですが、会場はにこやかに笑いが起こっていました。うまく吐けなくてこぼす人がいたり、ちょびっとだけ含んでちょこっとだけ垂らす人が居たり。ひねた笑いじゃなくてね、はしたない行動を晒すことから、場が打ち解けたような感じ。

 そして15人が全員ワインを(彼に)吐き終わると、ロナルドさんはビニール傘をさし、ブドウを手にしました。そして「口を開いてください」と英語で言い、ブドウのひと粒を、参加者の口にくわえさせました。
 『あれ、口を開けっていうから、ブドウを食べさせてくれるのかと思ったけど、そうじゃないのか?』と思った矢先、ロナルドさんが参加者にディープキス。騒然とする会場。「次は自分たちもか?!」と顔面蒼白になる残り14人(私を含む)。どうやら、くわえさせたブドウの粒を、ちゅばっと唇で食べ取っているらしい。こりゃ、また、なんだ。

 次々に残り13人(ひとり女性が拒否されました。まあ、普通に考えればそうだわな。……もとい、残り13人)が同じようにディープキスでブドウをもぎ取られ、彼のパフォーマンスは終了しました。

   *

 冷静に考えると、これはとても優れたものだったと思います。まず、会場がとても和やかになりました。奇抜さからくる「盛り上がり」と、説明がないことで増幅される「興味心」と、意図や決意が見え隠れすることから湧く「パフォーマーに対する尊重」と。アーティスティックでもあり、単に生身の人間ってだけ、でもある。

 はしたない行為を求め、それをさせ、そしてロナルドさん自身が受ける……というワインの前半。甘味を与えるかと思いきや、それを直に、はしたなく奪う……攻守が逆転し行為が直接的に発展エスカレートした後半。ここには「施される者・施す者」「奪う者・奪われる者」など、深い批評が隠されているような気がします。
 なぜ前半がワインで、後半がブドウの粒なのか。ここにも豊かな教示が含まれてます。ワインは、たくさんのブドウの粒からできる。ワインから粒へ移行することで、ぐっと「原点」に接近していく。それは「吐く」から「唇」に接近することとも重なる。
 そして、後半のビニール傘。ワインを吐かれて受けていた時は傘をさしていない。種をもぎ取る立場になって、傘という装備を手に入れている。傘なしで受ける液体(ワイン)と、傘をさして口づける果実。一方的な加工品の贈与からジャンプアップし、降水に対する対処を持ち、友愛も強引も含めて原種を受け取る段階へ。ここには何か関係的な希望が暗示されているのだと思います。批判的にも、期待的にも。

 道具立ても適切でした。ワインは(日本人から見れば)宗教的なイメージを含む飲み物です。そこから来る非現実味や意味深さ。そして一方、ブドウの粒が持つ宝石のような可愛らしいフォルム、そこから来る爽やかさや愛らしさ。ひいては所有欲やみずみずしさ。
 このパフォーマンスはオレンジジュースとオレンジでは成り立たなかったと思います。ワインとブドウを選んだから、儀式的な連帯感・静謐さ・非現実さが演出され、一方に陽気さや人間味も備わった。作品としての安定感が高まった。

 とてもよく計算されたパフォーマンスでした。「退屈させない」「興味をひく」といった表層はもちろん、「隠された意味・意図・表現対象」の奥深さもあって。「なぜパフォーマンスアートという表現手法でなければならないのか」「なぜ眼前で行われなければならないのか」という問題も当然クリアされていて。
 また、作品として閉じてもいませんでした。今日のような好意的な空気の場でなくても、もっとピリピリしたアカデミックな場でも、このパフォーマンスは成り立つと思います。その時々によって、相手や場によって感触は変わってくるだろうけれど、それでもこれはどこでもそれぞれに成り立つ。その場でしかない何かが成り立つ。優れた作品でした。

   *

 何より、このパフォーマンスが終わった後、会場の空気がとてもよくなっていたんです。ロナルドさんのパフォーマンスによって、いつのまにかお客さんたちの「アートパフォーマンスに対する警戒感・先入観」が解け、かつ親近感や集中力、理解力などが高められていました。人に優しい、場に優しい、場で行い実感・体験させる意味がある、優れたパフォーマンスでした。いいもの見ました。唇は奪われましたけど(って茶化しちゃいけないかな。うん)。

 ほかの方のパフォーマンスも面白かったです。視覚的・音響的な面白さがあるものもありました(山崎さんのスプーン投げとか、寺尾さんの蝋燭とか)。ほかにも、身体的でこそばゆい感触、暗示的な物の残し方、ちょっとしたトラブルなんかもあって。7人7様以上に、いろんな面白さがありました。

 ひさしぶりのパフォーマンスアート観覧でしたが、なんだかこう……静かで豊かなものを見てきたような気がします。そわそわもするし、しっとりスーッと気が静まってもいるし。いいもの見ました。これまで、パフォーマンスアートって見方がわからなかったことも多かったんですけれど。今日はとても面白かったです。楽しみました。

 あ。今日じゃないんだ、もう昨日だっけか。
posted by 若原光彦 at 01:55 | Comment(2) | TrackBack(0) | 近況