2004年12月04日

2日。

 2日、名古屋へ向かう電車の車内で、車窓の遠く向こうに飛行機が見えました。やけに低くを飛んでいる。どっかあの先に空港でもあるんだろうか。ああ、光学10倍ズームのデジカメが欲しいなあ。10倍ならあの飛行機も大きく写せるのに……というその情景から詩がひとつ浮かびました。こういう「詩を拾う視点」みたいなものが発揮されたときって、とても幸せです。私ってたいした奴じゃないか、と安心できます。
 ま、家に帰って推敲してみると、くだらない詩だったりするんですがね。

   ◆



 名古屋に着いて、地下鉄の一日券を購入。まずは東山線で中村公園へ。『名古屋市演劇練習館アクテノン』へ向かいました(その途中で左の写真の看板を発見。まるで人間が犬の奴隷のようだ。いかす)。

 アクテノンの1階に『詩のあるからだ』のチラシを置かせて頂きました。以前ワークショップでお会いしたスタッフの方が、私の顔を憶えてらして。「12月から自分が主催になったんですよ」「八事のあそこかな?」なんて雑談を少ししました。うれしかったです。


 アクテノンのある公園は、すっかり秋の風景でした。夕刻、カメラを向ければどこでも美しい風景が撮れました。水面に映った並木がゆらゆらと揺れて綺麗でした。ぼんやりと、ずっと見ていたかった。

   ◆

 今日どの詩を読もうか、ということを考えながら大須観音で降りました。先日は入れなかった『猫飛横丁』さんに到着。ガラガラっと戸をあけて入ると、中はいちめん本だらけ。あれです、小学校の資料室より狭い空間に、壁に床に中央に本がぎっしり。図書館でもBOOKOFFでも見たことのない本ばかり。平光善久の散文詩集なんてものも。うわあ。
 全部の棚をなめるように眺め尽くしました。R・D・レインの『結ぼれ』という詩集には絶句しました。ぱっと開いたら1ページに数回も「ジャック」という語が含まれている。ペラペラとページを手繰ると、そこにも、こっちにも「ジャック」が氾濫している。そうか、この詩集か! ……『めろめろ』『ジャックインジャック』という詩を公開したとき「R・D・レインの詩を思い出しました」というコメントを頂いたことがあったのです。この詩集がそれか! これは読まねば!

 他に『詩人の肖像』という詩人のインタビュー集を選び、これお願いします、と店主さんに見せると。穏やかな口調で「この本は先日買いに来た人がいた・でもその時はアルバイトがレジをやっていて値段がわからなかったから帰ってもらった」「そのときの人の方に優先権があると思うから、10日ほど経ってもその人が買いに来なかったらあなたに売るということにしたい」とのことでした。はああー、そういうこともあるんだ。アナクロな本屋さんって、いいな。と妙に感心しながら、了解して自分の名刺をお渡ししました。『詩のあるからだ』のチラシも置かせても頂きました。「詩って、もしかして桑原くんの?」と意外な人の名前が出て驚きました。役者としての桑原さんをご存知だったみたい。

   ◆

 大須観音から伏見に戻り、東山線に乗り換えて上社へ。ここの駅ビルに入っている『名東文化小劇場』にお邪魔して、チラシをお預けしました。事務室に私が入ると、職員のみなさんが一瞬ギョッとされました(なんでだろう)。背の高いお兄さんが快く対応して下さいました。
 演劇施設のスタッフさんって、くせのないあたり良い感じの人が多いのかな。いいな。

 その後、駅ビルの1階にあったBOOKOFFを少し見ました。100円コーナーに『多重人格探偵サイコ』が6巻まであったので、持っていなかった4・5・6巻を買いました。定価で買う気にはなりませんが、100円なら読みたいような漫画です。個性的でキレてて、わりと好きです。

   ◆

 東山線を西へ数駅もどって、東山公園で下車。出口を間違えて、出て入って戻って歩いてエレベーターに乗って『ClubBL』さんへ到着。レモンさんに今日のトップだと伝えられました。ありゃま。私はちょっとドロドロと毒づくやつを読むつもりだったのですが、一番手でドロドロじゃみんな辛いよなあ。そそくさとテキストを確認し、ソフトなやつを選びなおしました。
 鷲津さん、よしねこさん(あずみ由奈さん)と久々にお会いしました。鷲津さんに聞くと、小田タケシさんは北海道でも元気に詩人しているようでした。うむうむ。

   *

 ラジオ風トークライブ、とても面白かったです。この日はASSMAさんの誕生日でした。マック(マクドナルド)のハンバーガーが9個ほどプレゼントされました。話の流れで「ぜんぶ食べなきゃ帰れない」ということになり、ASSMAさん、幕間にもくもく食べてました(何だかんだ言って7個は食べきってました。おお)。

 鷲津さんは、日本文学館から出る『歌日和2』という本に詩が一編、入るそうです。それを朗読されました。バンドでライブもされるらしいです。
 よしねこさんは「〜てくれてありがとう」といろんなものに感謝を述べる手紙を読むパフォーマンスをされました。主体的な感じがしました「自分にこうしてくれてありがとう」と言っている。対象も具体性もなく感謝しているわけじゃない。主体的だなあ、実感があるんだろうなあと思いながら聞きました。
 ClubBL店長のタクヤさんの話も面白かった。ある機種の携帯を持っている人のサークルを作るらしいですよ。携帯を持ち寄ってゲームをする、敗者の携帯を叩き割る。またその機種を買い直してサークルに復帰せよ。そんな会だそうです。おもしろいなあ、ちくしょう。詩も書かれるとは知りませんでした。いろんなこと考えてるんだなあ。一見こわい人かと思っちゃうんですが、どこか柔らかい、優雅な感じもする方です。
 イサムさんもよかった。『ボーダーライン』今までで一番よかったです、叫ぶ声と姿が映えてた。『あっちゃん』もよかった。朗読後のトークでも、親近感が漂ってました。リトルバズーカ。下世話な話も混じり、客席に妙な一体感が起こったり。楽しかった。

 BluesyCatのタロウさんの和むトークが進んでいたんですが、あとにはまだ加久さんの朗読&トークも控えてたんですが、ASSMAさんのマック制覇の行方も気になったのですが、……23時半、帰れなくなるギリギリの時刻になりひとりお先に退出しました。加久さんがレモンさんASSMAさんと何を話したのか、気になるところではありますね。

 来月もやるかどうかは未定だそうですけど。「ラジオ」と銘打った、ローテンションかつ親身な空気、パフォーマンス見せるぜ! とガツガツするのではなく、その人が素朴に感じられるトーク。こういうのもいいですね〜。面白かったです。

   ◆

 帰りの電車で、席がなかったので扉の前にしばらく立ってました。前の座席に座っている男性が、資料を取り出し読み始めました。男性の背後から盗み見ると──

・常に効率を求める意識が必要だ。現状より「もっと」を目指さなければ成果は来ない。
・コミュニケーションが職場を変える。人との接触をないがしろにするな。
・上司に叱られるのをストレスと感じるのではない。逃げ道として「上司がストレス」としてしまっているだけだ。逃げない人にはストレスもない。
・整理することで不要なものを捨てる。常に必要なものだけを揃えそれに集中する。鞄の中身で営業成績もだいたい分かる。

──そんなことが延々と書かれていました。何かの本のコピーだったようです。資料の表紙ページにはチェック欄があり、数名の名前が並んでいました。読んだらチェックして次の人に回すことになっているのでしょう。
 ぐったりと終電の座席にもたれ、男性はだらだらとページをめくっていきました。読んでいるのかいないのか、首はうなだれたまま硬直し、手だけがもっさりと動きます。

 だからどう、ということはありません。ただ……地下鉄などで「みんなどういう本を読むのかな」と他人が持っている本を見ると……小説やエッセイを読んでいる人なんて居ないんですよね。ビジネス書や語学の参考書、医学・科学・PC等の専門書が多い。昼間だとスポーツ新聞や競馬新聞を読んでいる人もいる。いわゆる本(=小説・随筆)を読んでいる人なんて、いない。
 だからどう、ということはないんですけどね。ほんと。道は険しいな、と、思うのですよ。いや別にベストセラー作家になりたい訳じゃないですが。
posted by 若原光彦 at 02:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | 近況
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