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先日2日、名古屋は大須の古本屋『猫飛横丁』さんで買った本です。1000円だったかな。
私は現代詩の歴史とか、著名な詩人とか、あまり知りません。知っておくべきだろうとは思うのですが、好かないものは好かないし、耐えられないものは耐えられない。合わないものは合わないんです。「事前にそんなことを言っていては駄目だ。自分に凄く合うものもあるかもしれないじゃないか」と背を正し、図書館の詩集を片っ端から読もうとしたこともありましたが6冊目ぐらいでギブアップしました。こんなことをいつまでも続けていると腐ってしまうぞ! と思ったんです、その時は(でもその時に北園克衛を知り「本を持っているこの手がカミソリで切られていくようだ!」なんて感動したりもあったんですけどね)。
話を戻しますが、私は詩の歴史に疎いです。一般の小説好きよりは詩に詳しいでしょうが、ほとんど知識がないと言っていい。詩の人と会話していて、ごく当然のように名前とか作品名とか出されてもうろたえる人です。……これは、やっぱり良くないよ。でも合わない詩集をザバザバ読むのは辛いしなあ。
と、そこでこうした本です。この本はインタビュー集で、詩人がどのような環境で、どのような思考で生きているか、創作をしているかがまとめられたものです。こうした本は理解しやすいですし、自分の創作にもすぐフィードバック(影響・感化)されます。読みやすいし読む意義がある。
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取り上げられている作家は以下の13名です。
・飯島耕一
・鮎川信夫
・正津勉
・長谷川龍生
・北村太郎
・吉本隆明
・中桐雅夫
・金時鐘
・佐佐木幸綱
・吉増剛造
・吉原幸子
・荒川洋治
・田村隆一
「ギャー!」というほど超豪華な顔ぶれ。どういう時代だったんでしょう、この本が出た頃って。これが普通だったのかな。まさか。……まあ、それは今だから言えることなのかな。それにしても凄い面々だなあ。
読んでみて、やはり、読みやすく面白く、ためになりました。話が創作論に集中した人、社会環境の話題に傾いた人、ひととなりや生活のことが中心になった人など、詩人ごとに話の方向性はまちまちなのですが、各人らしさが出ていて良かったです。金時鐘なんて、過去に著作を読んで「おっそろしい人だなこれは」とびびってしまった覚えがあるのですが、このインタビューを読むとぜんぜん怖くない。恐縮せずに、相手の話に集中できる。面白いものですね。
全ての詩人に共通して言えるのは、その自覚の高さです。誰もが、自分の創作や遍歴に対してとても自覚的です。「あのときは○○だった」「○○は○○だ」「○○というのが理想だ」といったしっかりした認識でインタビューが展開しています。「なんとなく生きてる」「なんとなく詩を書いてる」とか無いんです。
いや、それが良いとか悪いとか言いたい訳ではなくて。……しっかりした人の話を聞くと、自分の迷いや、自分自身気づいていなかった問題などが見えてくる。気がする。
詩作品よりも詩人の方が面白い、なんて言っては言いすぎだと思いますが。詩作品や詩作を学問や修練として学ぶ気は私にはありません。でも詩人からは、学ぶことはいくらでもあると思うんですね。
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書名:詩人の肖像
著者:清水昶(しみずあきら)
発行:思潮社
1981年8月1日
1092-200040-3016(定価1900円)
トラックバック、ありがとうございました。
自作CSSについての文章をまた書いてみました。
よろしかったら、御覧になってください。
これからも、よろしくお願いします。