2004年12月13日

『二十代の潜水生活』みてきました

 11日(日)、先日紹介した朗読劇『二十代の潜水生活』へ行ってきました。

 ところで「潜水生活」と漢字変換しようとすると必ず「センス衣生活」と一番に出るんですよ私のPC。MS-IMEの自動学習レベルを上げると要らんことまで学習しはるので、自動学習は低めで使ってるんです。やっぱりちょっとは学習させた方がいいのかな。

   *

 さて、話を戻して。

 上演会場となる『シアター・座・ウイークエンド』さんには初めて行きました。廊下で受付を済ませ、チラシを手にして入場しようとすると、入口で靴は脱いで入るのだと言われて驚きました。おお、そんな所もあるんだなあ。今まで考えつかなかったけど、たしかにあり得るなあ。そういうのもいいなあ。
 場内は、壁一面に黒い布が張られていて、ステージに集中力の働く空気でした。黒で包まれている、というのは幾つものライブハウス・劇場がそうだったんですが、なかでも格別に集中力が作用しそうな感じがしました。

 上演された演目は、清水義範の文庫『深夜の弁明』より『百字の男』、文庫『蕎麦屋ときしめん』より『序文』。
 前者『百字の男』は、新聞社員の男が主人公です。夕刊の「TVドラマを100字で要約した文章」を担当している男は、いつの間にか書くこと喋ることが全てきっちり100字におさまってしまう癖がついてしまった。出かけるが帰りは遅くならない、というメモもきっちり100字。慰めの言葉も100字。……これは、たしかに誰も朗読しようと思わない。面白い話だなあ、私の好きなタイプのお話。古本屋で探してみようかな。
 後者の『序文』は、ある素人学者が唱えた『英語、日本語語言説』という本の序文という形式で書かれた物語。この本は「英語の語源は日本語である!」というキテレツな論理で「汁(jyu)→juice(汁・液)」「疾苦(shikku)→sick(疾患)」といった例証を挙げ続け、自分の理論を認めない学会を頭が固いと罵り続ける、なんともイタ〜いお話でした。……これもまた、誰もわざわざ朗読しようとは思わない一品です。ニヤッとさせられつつ、主演のニシムラさんが時々すごく嫌〜な人に見えてしまってちょっと困りました(笑)。しかもこの話、処女作の序文、だけでは終わらないんですよ。改訂版の序文、完全版の序文、さらに、と続いてゆきます。素人学者の倒錯ぶり、罵倒ぶりもそれにつれてヒートアップしていきます。さいごは「いち市民」に戻ってきて、ほっとするんだか、ううむそれが世の中かと悟らされるんだか、なんとも絶妙な着地を迎えます。これも私好みの面白い話でした。

 なんとも、テキストの選び方にセンスを感じました。わざわざこんなものを読まなくても、平凡に『銀河鉄道の夜』とか『クリスマス・キャロル』とか読んじゃった方がいろいろ楽だったでしょうに(笑)。そうじゃなく、粋な方へ、むむむむっと来るほうへセンスを傾けている。いやあ、私には嬉しかったです。面白い本を教えていただきました。
 朗読にはギターの伴奏がついていました。効果音、照明での演出もあり、それらがひかえめに、しかし息のあった効果を生んでいました。詩の朗読は「かみあわない」か「何も無い」のが普通なので、ここまでぴったりで効果的な演出には正直うらやましさを感じました。

 ニシムラさんの朗読会は、また演目を変えて開催される予定だそうです。楽しみです。
posted by 若原光彦 at 08:08 | Comment(0) | TrackBack(1) | 近況
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ぐえ、と唸る週末
Excerpt: 「二十代の潜水生活」について、2つのエントリで取り上げて 頂きました。ありがとうございます。トラバらせていただきます。 …よし、次回はハーレクイン小説でやってみようかな。 日付変わって今日、実はナ..
Weblog: Notes〜即興ナル日常
Tracked: 2004-12-18 01:43