2004年12月29日

25日。

 もう4日も前のことをいま書くというのも変ですが。12月25日、『太陽と雨、もしくは雪』を観覧に、名古屋池下の自宅兼用ライブハウス『源』に行ってきました。

   ◆

 当日は早めに家を出て、宣伝がてら名古屋をうろついてました。まずは大須観音の古本屋『猫飛横丁』さんで先日取り置きして頂いてたR・D・レインの『結ぼれ』を購入。開店前だってのに対応していただいて、ご主人ありがとうございました。

 さて、観音さまの石垣に座って煙草を一服。このままだらーっとしていてもしょうがない、と腰を上げて地下鉄の駅へ。久屋大通で下車し、先日見つけた『まんだらけ』に入りました。『詩のあるからだ』のチラシを置かせてもらえないかと頼むと「同人誌即売会などのものに限っている」とやんわり断られ。すぐそばの『マウンテンルート』に寄りお茶を飲み原稿用紙に乱筆を残し。矢場町まで歩いて(途中、テレビ愛知のサテライトスタジオがあり、夕方の生放送番組で板東英二が信仰がどうとか喋ってるのを見つつ)『名古屋ビジュアルアーツ』『名古屋デザイナー学院』に突入。「学生さんを遊ばせたくない筈の専門学校に、何の役にも立たない詩のイベントチラシなんか置かせてもらえるのか?」とかなり悲観的に入ってみると。どちらの事務員さんも快く対応して下さいました。あっさりOK。いや、うれしかったな。放送や声優、デザインなどの勉強をする人が集まるところだから。チラシが出会いにつながるといいなあ。
 その後、地下鉄に乗り栄方面から東へ。今池で下車して『ウニタ書店』『芸音劇場』へ。ウニタ書店は、面白い本がいっぱいありました。本屋さんって、あまり専門的なラインナップだと本に驚くばっかりで買って読む気にならないんですが、ウニタさんは幅広さとディープさが程よい本屋さんでした。よい本との出会いが出来そうなところでした。
 今池駅まで戻り、今度は徒歩でひたすら南下。15分以上歩いてたどり着いたのが『千種文化小劇場』、愛称『ちくさ座』。事務所でチラシのことを申し出ると、ここも快く対応していただけました。ただ、演劇のチラシって一般にA4サイズなのに、私のはその半分A5サイズ。小さいからケースに落ち込むかもと言われました。ご面倒かけます、すみません。
 劇場を出て、徒歩で数分さらに南下し吹上駅で地下鉄に乗車。覚王山で降りて『覚王山アパート』を訪問。2階の絵本教室にご挨拶しようと思ったんですがお留守でした。1階でチラシ設置をお願いし、地下鉄の駅に戻って乗車、池下で下車。池下から『源』さんへ徒歩。ちょっと道に迷いつつ何とか到着。

 この日、右のももが痛くなりました。鞄が重かったんです。テキストやらデジカメやらは入っているし、地下鉄の駅の売店で古本を買ってしまったし、『まんだらけ』でも一冊買ってしまったし。なにより、歩き過ぎです。伏見駅なんて乗り換えだけでも相当歩かされます、それを何度も何度も。あっちの駅で乗って降りて乗り換えて迷って戻ってホームにたどり着いて、乗って立って降りて迷って降りてみると日が暮れていた、とか。地下鉄の乗換えが趣味の人みたいでしたねえ。クリスマスだってのに。

   *

『源』さんでのライブは、とても良かったです。正直、それほど期待はしていませんでした。自宅兼用ライブハウスって設備はどうなんだろう、集まる人も仲間うちばかりで馴れ合いの面があるんじゃないか、そんな風に勘ぐっていました。
 ……行ってみたら、全然違う。音響も照明もバッチリ決まってましたし、まきえいこさんの歌は、めちゃめちゃうまかったです。強く味付けして歌うのではなく、歌詞が聞き取れて理解できる、聞いていて絵の浮かぶ歌声でした。歌の前にときどき詩の朗読をはさんでいたのですが、それも押しの強いものではなく、ふわっと場の空気を変えるタイプの朗読でした。歌に進む前に詩でみんなの心が静まる。その空気が歌で高められる。無理のない、とても調和した詩と歌のコンサートでした。
『源』は、とても質の高い人たちが集まる場なんだと感じました。お客さんたちも非常に品が良かった。アドリブでコーラスしたり(それがまためちゃめちゃうまいんだ)。小さな清流のような場所でした。

   *

 JRで岐阜へ帰ろうと、地下鉄で金山駅に移動してみると。総合駅構内のあちこちに、ストリートパフォーマーがいました。日本一週をしているというマジシャンのカップルや、ギター習いたてらしいたどたどしいギター弾き、床にポストカード(詩の書画)を並べて売っている長髪の男、構内の端っこで遠慮がちにカバー曲を爪弾いている眼鏡の青年。
 こう言っては何ですが、えらく質の悪いラインナップでした。「構内は演奏・布教・街宣などの行為は禁止です」という張り紙の真横でギターを弾いていた人もいました。なにかズレている。技術もレパートリーも無くただ居るだけのような、何がしたいのかよく分からない人が多かったです。……でもクリスマスだから、いいか。多少のことは許されそうだよな、今夜は。
 ……。なんというか、ムラムラっときました。あんなレベルでも許されるというのなら、私も邪魔しても良いんじゃないのか。
 すたすたと駅の構内を出て、南口の街灯の下で路上ライブを決行しました。たまたま場所も開いてましたし。景気づけに桑原滝弥さんの『HBD』『ロング』を読み、それから自作を6作ぐらい。声量第一で、声色は壊しぎみ。30分ぐらいあの手この手で叫びました。
 ギャラリーの反応は無かったです。まるっきり無かったです。遠くで座ってる女性二人組がニヤニヤしながら最後まで聞いてくれたこと、『ビヨンド』『とてもかわいい女の子になりたい』の途中でしーんとした空気が出来たこと、『助けて貰ってこんなこと言うのは本当にあれなんだけど』の「てめえだっていつかは死ぬんだぞ」という所で通行人カップルが正気でびびってたこと、それぐらいかな。ポエトリー・リーディングって、音楽とは違って近づきがたい印象がある、そのことを再認識させられました。
 しかし、声量や姿勢、度胸や感情の持ち方のとてもよい訓練になりました。やりながら「あ、いま自分ふらついてる。ナヨナヨっと見えているな」とか分かるんですよ。短時間でもすごく凝縮したトレーニングになります。
 決めました。これからは路上ライブ、折々に突発的に行います。売る物がある訳でも告知がある訳でもありませんが、自身の訓練としてはかなり実用的だということが分かりました。月に数度のオープンマイクだけだと神経が萎えてきます、それを路上で尖らせ叩き直して自分を伸ばしたく思います。

   ◆

 という一日でした、25日は。
 岐阜に帰って、少し寝て起きて26日。桑原さんが出演した番組の録画ビデオを見ました。25日深夜に生放送されたものです。桑原さん自身は「たいしたこと無い番組だから応援に来なくてもいいよ」みたいなことを言っていたそうですが、いちおう特番だし、おいしいんでないのー。このー。
 とわくわくして見てみたら。本当にたいしたこと無い番組で言葉を失くしました。何がしたいの……という感じでした。大勢が生放送でわーわーぎゃーぎゃーとテンパっている様子が痛々しかったです。から元気が年末のわびしさを引き立てるような、やるせない番組でした。

 そしてその夜、ハードディスクのトラブルが発生し、その対処に追われて今日に至るわけです。25日に得た前向きな気分が、録画ビデオで怪しくなり、PCトラブルでトドメを刺された。一寸先は闇というか……明日も来年も闇だらけって感じです。
posted by 若原光彦 at 11:19 | Comment(0) | TrackBack(0) | 近況
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