2004年12月31日

雪景色


 いま外はこんな状態です。午前中に降っていた雪がみぞれ雨になり、それがやんで少し経ったところです。
 サンダルを履いて自販機へ煙草を買いにいきました。足が冷たいです。電線からはボタボタと雪が落ちてきます。

   *

 思い出したのですが。数年前『日本WEB詩人会』で「各地で雪が降ったら、投稿掲示板に雪の詩が積もってきたのがとても素敵だと思った」という書き込みがありました。私たちは何かを共有している、みんな実態を持って生活している、そこから詩が届いている……そんなことを感じさせられて、なにか美しいものに気づけたようで、そのとき私はとても嬉しかったです。
 降雪や台風などがあるたび、私はこのことを思い出します。同じ時代に生きているんだな、って。

   *

 話は変わりますが。いま外の風景を撮影していて、気づいたことがあります。「私はいまカメラを横に構えている」。
 風景を撮影するとき、私はまずカメラを縦に使うか横に使うかを考えます。どの光景をどの範囲でどう切り取り、何と何と何を画面に収めるのか。構図を決める際にはまず「縦か横か」をさぐります。
 さっき雪が積もった近所にカメラを向けていて「いま私は横に使おうとしているな」と気づき「ふだんは縦にして空を入れたがるのに。なぜ今は横なんだろう」と疑問に思いました。撮れた写真を見て、その理由が分かりました。
 私は雪が積もった屋根や、それによって重苦しくなっている地上を画面に収めようとしてたんです。だから上下(空や足元)は画面に要らない、左右に展開する地上を枠内に込めた。

 写真って詩に似てるな、と時々思います。何を発見し、取捨し、まとめるか。もちろん写真の場合は(とくに人物を撮る場合は)色味や露出などの装置的な技術が必要ですが、着眼点や姿勢、こころの持ち方みたいなところは似ている気がします。
 詩を「この詩にはこれが書かれていない」「作者はきっとこういう人だ」と読むことがあります。そのように、最近は写真や絵画も「これにはこれが入っていない」「ここを拡大している」「ここを狙っている」という視点で見られるようになりました。作品を見て、作品内に描かれていないものを想像する楽しさと、そこから見えてくる作者の癖に好き嫌いを感じる面白さ。
 写真を撮っても、詩を書いてもサイトを作っても、自分は自分なんだなあ、出てるなあ自分が、……なんて思ったりします。
posted by 若原光彦 at 15:27 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感
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