2005年01月07日

書籍『あんな作家 こんな作家 どんな作家』

 最近読んだ本です。『IN★POCKET』という雑誌に連載されていた、人気作家へのインタビューをまとめた本です。どんな作家がインタビューを受けているのかはこちら(bk1)。小説家を中心に、著名な作家がノンジャンルでならんでいます。なんて豪華な……。
 文章は軽妙です。人物を「先生のよう」とか「お姉」とか、和やかに表現し、持ち味を活かして話を進めています。1回が5ページほどと短く、毎回最後にオチがつく。たいへん読みやすく、リラックスできる本です。

 と同時に、作家という人々の尋常じゃない才能と努力が毎回のぞく本でもあります。栗本薫さんは「推敲するくらいなら全部やり直す」と延べ、中村敦夫さんは「人生っていうのはサービス業」と語る。宮本輝さんは医者に「小説家としてこれほどめぐまれた病気はない。少し頭がおかしくて胸が悪いくらいがちょうどいい」と慰められたとか。赤川次郎さんは「ワープロは使わない。ワープロだと変換に時間が要る。がんばっても1時間に4枚しか書けない。手書きなら早ければ10枚ぐらい書ける」とか。

 個人的には、共感を感じた点も反発を感じた点も多くありました。作家の半数近くが有名大学(早稲田とか慶応とか)の出身や、元編集者、元コピーライターなどであること。意外と多くの作家がガッチリしたテーマを持たず、作家として生きるために作風を選んでいること。みんな〆切が怖いこと。過去の自作が恥ずかしくて読めない、自作が嫌いだと言う人が多いこと(インターネットにかぶれている私には考えられないことです。ネットに露出してる人はみんな少なからずナルシストだから)。

 以前『詩人の肖像』という本をご紹介した時にも書いたことですが、本や作品から学ぶことはなくても、作家から学ぶことは幾らでもあります。
 文学ミーハーのためのゴシップ本として読んでもそれは面白いでしょうが……何らかの表現にたずさわる人には、いろんな感銘と格言を与えてくれる本です。決定的な論調はせず、「生き様」についても大袈裟に触れず、「ひととなり」が好感をもって記されています。ここちよく読めて、いろんな事がひっかかる。
 はっきり言ってこれで600円は安いです。お買い得な本です。

   ◆

書名:あんな作家 こんな作家 どんな作家
著者:阿川佐和子(あがわさわこ)
発行:株式会社講談社(講談社文庫)
2001年3月15日第1刷発行
ISBN4-06-273096-0 C0195
本体571円(税別)
posted by 若原光彦 at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍
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