2005年01月23日

詩とポエム(2)

 多くの詩人が、ポエムを嫌っています。それもハンパじゃない勢いで拒絶します。よく考えると不思議なことです。
 そもそも、詩とポエムの違いって何でしょう。「読めばわかる」ってまあそれはそうなんですが、ちょっと気付いたことがあったので少し具体的に書いておこうと思います。

 と、その前に、こちらを読むと面白いと思います。

現代詩フォーラム:ポエム派宣言3(佐々宝砂)
http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=28702

『ピューと吹く!ジャガー』というマンガを引いて、詩とポエムの対決を示しています。長文なので今ぜんぶ読まなくてもいいですが「詩とポエムって、なんかこんな感じで違うんじゃない?」という示唆として挙げました。面白いです。

   *

「詩とポエムは別のものだ」と私は思っています。ポエムが詩の一部なのでも、その逆でもない。どちらが上かとかそんなこともなく、詩には詩の世界があり、ポエムにはポエムの世界がある。それぞれに読者がいて、作者の狙いがあってそれぞれの形態を取っている。

 詩作者の狙いは、言葉をつむいで妙味をかもし、読者に世界観というか……なにか新しく豊穣な視点を垣間見せることにあると思います。新しい認識を与えてくれることもあれば、複雑で異形な、言語化が難しい作品ともなります。
 一方、ポエム作者の場合は詩的も妙味も追いません。感情や情景、願いや希望を伝えることを最優先に創作をします。短く平易に、ときに臭く、ときに作文的になりつつ、イラストや手書きなどとも融合しつつ、メッセージ性を追求します。

 目的も方向性もまったく違うわけです。詩人はメッセージポエムなんか読みたくないし、ポエマーは回りくどい詩なんか読みたくない。それだけなら詩とポエムはお互いの距離を自覚して仲良く並列できそうなものですが、実際にはそうはなっていません。詩人はポエムをすさまじく嫌悪しています。

   *

 その原因は「『ポエム』と『詩』がごっちゃに認識されている」ところにあると感じています。
『ポエム』も詩を名乗り、『分かち書きの作文』も詩を名乗り、『相田みつをのような言葉の毛筆』も詩を名乗り、「詩を書いている」と言えば「ポエムを書いているのだな」と思われる。「詩とポエムは違う」ということが一般に理解されていません。
『詩』の人々には常に「詩の価値を認めさせたい」という思いとともに「詩を詩と分かってほしい」という思いがあります。『詩』が『ポエム』と混同されていることが我慢ならないわけです。それが『ポエム』を排除したり、「これは詩じゃない」というきつい指摘を吐かせたりしている動機だと思います。

 さらに「『詩』の人々自身も『詩』と『ポエム』の差を意識していない」ことが混乱を増しているように思います。『ポエム』を『詩』として読むことは間違いですし、『ポエム』を「詩として面白くない」「個人的」「作文的」などと評するのもミスマッチです。方向性が異なれば技術も表現も異なってきます。『詩』の尺度で『ポエム』を味わい測るのは無理があります。
 もちろん『ポエム』にも構成や表現などの技術はあり、上手・下手もあります。『詩』と共通する部分もあるでしょうが、私はやはり「詩とポエムは違うもの」という前提で接したほうが無理がない、と感じています。……作品をどう読むかは読者の自由ですけれど。

   *

 以上──

・詩とポエムは別のもの
・詩は妙味を追う
・ポエムはメッセージ性を追う
・作品の狙い・方向性がまったく違う
・詩人にポエムは楽しめない
・ポエマーに詩は楽しめない
・しかし世間的にも当事者にも混同されている
・別物と考え、接したほうが楽しめる

──ということを書きましたが。これにあてはまらない「ポエマーにも楽しめる詩・詩人にも楽しめるポエム」が存在する可能性も否定はしません。
 というより、それに期待しています。前にも触れた「詩とポエムのハイブリッド」です。もし詩集がベストセラーになる人がいるとしたら、そういう作風の人だろうと思います。まあ、志向や作風はそうそう変わるものではないので、無理にそうなろうとしなくてもいいんですけど。

 蛇足ですが、その「ハイブリッド化」を成した人の創作は『詩』でも『ポエム』でもなく『詞』に近くなる予感がしています。たとえば、私が思い浮かべるのは任務城さんです。
posted by 若原光彦 at 18:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 詩・言葉
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