
「詩集が出たのか〜。あぁ〜。注文しようかどうしようか〜」と迷いました。そして「別のことを考えよう」と思い「ほかにも注目作なかったっけ。もし注文するなら一度にした方が送料もひとまとめにできるし」と、取扱中の他の本をつまみ読みしてました(他人の詩が読みたい、という気分でもありましたし。最近そういう気分になることが多いんです)。
すると、とてもひかれる本がありました。『詞』『唄』という2冊。そのほかにもいい本はあったのだけれど、この2冊のサンプルが私にはとてもよく馴染んで。サンプルの読後に「読んでよかった」という実感があった(でもちょっと高い……で、購入は躊躇してるんですが)。
田口犬男さんの詩集も、サンプルだけ読みました。いいなあ。面白いなあ。ついでに足を伸ばして『Zamboa』の特集や『いん・あうと』のインタビューも読んでみました。自然というのとはまた違うのかもしれないけど、なんだかホッとする方だなと思いました。自作を持論で固め過ぎていないような。無理のないトーンで受け答えしている。
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以前より、楽に他人の詩を読めるようになっています。先日紹介した『現代詩作マニュアル』を読んでからは特に、難しい文章や感動の淡い詩も読めるようになったみたいです。耐性がついたのか、スイッチが入ったのか……そんな大げさなことじゃないのかもしれないですけど。
余談ですが『現代詩作〜』を読んでから、『詩人の肖像』をあらためて読み返してみると、とても面白いです。前者には作者性へのフォーカスは少なかったから。後者が前者を拡張していくような感じがします。『現代詩作〜』役立ってるなあ。すごいぞ。
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今冬のGoogle不調の件以来、たまに『2ちゃんねる』をチェックするようになりました。専用ブラウザ(JaneDoeStyleLite)を試してみたら、とても軽くて高機能で。息抜きに立ち上げて詩や煙草の記事を読むことがあります。以前は「2ch独特のトーンが嫌い」だったのですが、慣れてみるとあの世界はなかなか機能的です。くだくだと前置きがいらない、情報が主役の場。
で、昨日。詩・ポエム板でこんな詩を見つけました──
死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/poem/1089286714/
105 名前:死は 刑事課の管轄にあり[sage] 投稿日:05/02/03(木) 20:50:43 ID:aMpSCxB7
死ぬのは待て ドラえもん誕生まで生きろ
死ぬのは待て 徴兵制まであとすこし
死ぬのは待て 今年の巻き寿司はどっち向き
死ぬのは待て デイ・アフター・トゥモロー見たか
死ぬのは待て 夏服にすくわれたいのちもある
死ぬのは待て いまは死に方を考えて 死んだ後のこの世を夢想するんだ
死ぬのは待て 言うのはこんなにも簡単だが
死ぬのは待て その絶望をすててから死ね だから
死ぬのは待て どうせ死んでも救いなどない
死ぬのは待て ついでに疲れもとれないぞ 別に
死ぬのは待て 死は形而上の楽園にあらず
死ぬのは待て 死は刑事課の管轄にあり
──いい詩だな、と思いました。くだらないと言えばくだらないけど「死というシリアスに、くだらなさで対決している」というビターな優しさがうれしい。「夏服にすくわれたいのち」ってわかります?「夏服を貰ったから夏まで生きようと思った」と書いたあの人は結局入水自殺してるんだよね(笑)。本末転倒だけどなんか勇気づけられちゃう。「徴兵制まであとすこし」も「徴兵されれば命の散らし方はもらえるよ」と「自殺を肯定しつつ生かせようとする」矛盾してるけど力が湧く理論。サラッと危険な綱渡りをしてます。個人的には「ついでに疲れもとれないぞ 別に」が好き。うまいな、おもしろいな。読めてよかった。
……ひとつ気づいたんですけどね。私は「私が書きそうな詩」が好きみたいです(「私に書けそうな詩」じゃないですよ)。「波長」ということなんでしょうけどね、それは。