2005年03月03日

田舎のBOOKOFF

 先日、100円ショップの『ダイソー』でオイルライターと専用オイルを買いました。風が強い状況でも使えるライターが欲しくて(でもまだ屋外では使ったことがないんですけれど)。……飾り気がまったくなくて、銀色でつるつる。シンプルで気に入りました。
 しかしネット上で調べてみるとこのライター、3日ほどで使えなくなるそうです。そしてその通り、一発で点火できたのは最初の3日だけでした。それ以降はいくら石を弾いても火花が散るだけで炎が立たない。
 でも昨日になってコツがわかりました。100円ライターのようにチョッとやるんじゃなくて、風防部分にまで指をかけてから一気にグワッと擦るといいみたいです。100発60中ぐらいになりました。なかなか面白いです。
 火柱がでかいのでビビりますけどね。手を離しても落っことしても火が消えないから、一歩間違うと床を焼いてしまいそうだし。面白いんだけど、面白がってもいられない。100円均一のガスライターの方が使いやすいかな、やっぱり。
 ガスライターは、いいですね。炎の形もかっこいいし、あの「シュゴーッ」って音が小気味よいです。

   *

 先日、所用の帰りにまたBOOKOFFに寄ってきました。先日買った本はほぼ読んでしまったし。本当は図書館で『世界の中心で愛をさけぶ』を借りてみようと思っていたのですが、行ってみたら図書館は休館日でしたし。

 田舎の、平日夜のBOOKOFFにはいろんな人が来ます。家族連れもいるし、作業着姿の男性もいるし、学校の下校後なのか塾の登校前なのか学生グループもいるし。
 でもその誰もが「サエない」顔をしています。疲れた顔ではないです、疲労が出ているわけじゃない。なにか、何にも興味がないような無表情をしています。男性も女性も子供も大人も。少女コミックの一角にいる女性も、青年コミックのところにいる男性も。
 顔だけじゃなく、服装も「サエない」感じです。上下ジャージとかいうようなあからさまな田舎くささじゃなくて。センスよく決まっていても、派手な色使いでも、沈んで見えてしまいます。

 私は105円のコーナーだけ、ばばばーっと「あの作者のはないか」「あの続巻はないか」「なんか気をひくタイトルの本はないか」と見ていったんですけれど。青年コミックのあたりで、何か声が聞こえました。本を棚に戻して振り返ると、30代中ごろぐらいの男性がぼそぼそと「……は……じゃない……で……だから……なんだ」「……が……なものは……だから」などと独りごとを言っていました。視線がうつろで背が丸くうつむき加減で肩が落ち込んでいます。なのに顔だけはまっすぐ前を見ている。
 周囲に客……他人が居ることにまるで気付いていないみたいに、自分は幽霊だとでもいうみたいに、男性はずっと呟き続けていました。私はひどく重苦しい気持ちになりました。この国には救いがないような、ひとや人生が素晴らしいものだとは思えない気分。じわじわと何かが悪いほうへと向かっているような実感。
 大袈裟ですよね。それはわかっているんですが。田舎はみんな地味に暗鬱だし、都会は誰もが早足で粗暴だし。ときどき人間が嫌いになってしまうことがあります。嫌な人にあったり嫌な目にあったりしても人間嫌いにはならないのですが。地味な不幸感を感じると、人間なんて、という気持ちになることがあります。

 結局BOOKOFFには2時間近くいました。で、105円の本を18冊ほど買いました。文庫やらマンガやら詩集やら(先日紹介した『現代日本詩集』をまた見つけたのでそれも買いました)。いい買い物したのか無題使いだったのか。
 本を買ったあとって、いつも「なにかしょいこんだ」ような気分になります。「わあ買ったぞ。これを待ってたぞ。早く読みたいぞ」なんて気分、ずっと忘れてるなあ。ゲームやレコードもそうだな、年齢とともに流行とか関心なくなっていくんでしょうかね。……って、私は昔から流行とは無関係の趣味で生きてきてますけど。
posted by 若原光彦 at 22:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑感
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