2005年03月29日

ぽえ茶最終回

 27日(日)、名古屋へ行ってきました。フライヤーをリュックに詰め込み、早めに家を出ました。あちこち回ってチラシをおかせて頂こうと思ってました。

 ですが、そのプランはすぐつぶれました。チラシ配布のスポットめぐりに出る前に、27日が最終日という『倉庫会第49回・古書即売会』に寄ったんです。「40分ぐらいでざっと見て買って出よう」と思っていたのですが、甘かった。BOOKOFFで半日すごせる奴がこんなところに入ったらどうなるか考えるべきでした。あれこれと目移りして、結局2時間ぐらい居ました。入口に「バッグは持ち込み禁止です。この棚に置いて下さい」とあるのを見逃し、重いリュックを手にしたまま2時間ずっと立ちっぱなし。足が棒になりました。レジの人も注意してくれなかった。
 いろいろと面白い本を買いましたよ。戦前の自由律短歌のアンソロジーとか。『方言詩の世界』という本とか。100円のマンガとか。『トイレット部長』というすごい名前のエッセイ集とか。『なだいなだ全集』が6巻と12巻だけあったのでそれも買いました。
 ま、……。無駄遣いだわな。つい「価値を感じる」とか「腐るもんじゃないから」とかって買ってしまうんだよなあ。

   *

 14時を越えたあたりで即売会から出て地下鉄に乗り、『ぽえ茶』会場の『神宮茶屋』さんに向かいました。両手に本の詰まったビニール袋を持って。重かったです。「くわぁー!」とか叫びながら地下鉄の階段を登りました。対向者さんが怪訝そうな顔をしてました。くわぁー!

『神宮茶屋』さんに入ると、ISAMUさん、古村てっちゃんらがいらしてました。二時半すこしして、林本さんもいらっしゃいました。私は先日見つけた亀のカプセルフィギュアを林本さんにプレゼントしました。林本さんのおっかけ(?)の奥さんからお茶菓子の差し入れもありました。

 最終回との知らせを聞き、平林さん・えのういさん・テラオハルミさん・長谷川節子さん・加久裕子さん・ツバキ嬢さん・熊瀬サキさん・岡本はなびーるさん・kankotsuあおきさんらも途中でいらっしゃいました。林本さんのお友達も観覧にいらしてました。えのういさんの詩はやっぱり『ぽえ茶』の雰囲気にとても合ってました、ひさびさにワニの詩も聞けました。えのういさんの声は変わらず心地よくユーモラスでした。
 てっちゃんは『いいじゃないですか』という詩を持ってきていました。「いいじゃないですか」と否定のような肯定を繰り返しつつ進むテキストです。私も「繰り返し」や「ずらし」を多用した朗読作を多く書いているけれど、よかったです。てっちゃんの人柄や声にもよくあっていました。ご自身も気に入っていたみたい。
 私は『人間洗車』をやろうと思っていたのですが、思いついて、先ほど買った『ボールペンの話』という本の一部を読みました。1949年にシグマ工業という会社が出した小冊子です。「恐らくは近い将来にボール・ペンの黄金時代が来るであらう」なんてところで笑いが取れました。よし。

 という私のくだらない朗読の最中に、ガーッと入口の自動ドアが開いて。みんながどよめいたので振り返ると、東京に居るはずの桑原滝弥が妙なヒョウ柄のジャンパーを着て入ってくるところでした。「どうして?!」と全員の頭から吹き出しが飛び出てましたね。
 レモンさんは万博に関連したラップを決め。レイさんはグラスとコインを用いて「目を閉じて聞いて下さい」と音だけを聞かせるパフォーマンスを行い。堀場さんはいつも通りに歌い。内藤さんは景品を提供し。テラオさんはミニ本を読み。……いつも通りの『ぽえ茶』でもあり、さいきん会えなかった方々にお会いできたスペシャルな回でもあり。にぎやかで、みんなそれぞれでした。

 今回は、みなさんに説明し了承を得て、会の模様を録音させて頂きました。遅れて来場された方がいらっしゃるたびに説明したので、繰り返しギャグのようになってしまいちょっと恥ずかしかったな。この録音音声は今月中にネット上で聞けるようにします。

   *

 私は『ぽえ茶』で育ったようなものです。毎月『詩のあるくちびる』や『詩の夕べ』に通っていただけでは、私は変な方向にしか進まなかったでしょう。オフラインの会に出て行くようになった当初、私は隅に座り誰とも目を合わせないようにして出番を待ち緊張しているだけの身勝手な客でした。そして会が終わったらそそくさと帰る。……あのままリーディングやオフラインへの露出を続けていても、たいしたものは得られなかったでしょう。
 私のオフライン活動が本格化したのは、『ぽえ茶』で朗読作『人間洗車』を読んで桑原さんに「おまえ、いいよ!」と言われてからでした。『ぽえ茶』ではバクのぬいぐるみを抱かされ「似合う似合う」と写真を撮られたこともありました。昔取った杵柄で『外郎売り』を読み拍手を頂いたこともありました。開放的な雰囲気で、詩に限らず小説やエッセイ、歌詞なども読め、聞けました。
 そうしたことのひとつひとつが、硬く視野の狭かった自分をほぐしていってくれたのだと思います。また『ぽえ茶』がなければ、堀場さんやてっちゃんと会うこともなかったでしょうし、水尾さん内藤さんを通じて長谷川さんや愛知の方々と、林本さんを通じてのほほん人さんや『詩とメルヘン』の方々と出会うこともなかったでしょう。

 これからも『ぽえ茶』はそういう会として──警戒してオフラインに出てくる人や、詩に知識や先入観を持っていない普通の人が、最初に訪れ楽しめる場所として──またそうした人々を偶然に新しい人々とつなげてゆく会として──続いていくのだと思っていました。
 終了は、今でもとても残念です。『ぽえ茶』が果たしてくれていた機能を『詩の夕べ』や『詩のあるからだ』が備えられるようになるにはしばらくかかるでしょう。「大きな場所を失ってしまったな」という残念な思いとともに、『詩のあるからだ』の主催者として責任も感じます。正直「いつまでも続く」「いつでも帰れる」と安心しすぎていたのかもしれません。

   *

 正木さんの朗読は、聞いていて『ぽえ茶』を象徴しているような気がしました。変に飾らず、奇異なところもなく、淡々着々と生活や風景のことを詩にされていて。声も、無理に張ったり声色をつけたりという方へは向かってなくて、ただただ誠実で市民的で。清らかさを感じました。
 正木さんは『ぽえ茶』に来てから詩を書くようになった方です。詩作は続き、ミニコミ誌『蒼生舎通信』に寄稿もされるようになりました。近日には詩集も作られるそうです。うれしいです。
 林本さんからリクエストを受け、正木さんは『ラッキー』という作品も読まれました。亡くなった愛犬を「感情のかたまりになって飛び込んできた」「いまは空気のようになってこの部屋にいる」「犬だったのかもわからない」とつづった詩です。良いなあ……。

 詩の「シーン」などと言いますが、そんなものは仮想です。単によい影響を与え合う人や場所が増えていく、広がっていくだけのことです。でも(自分が主催者になってから一層わかったのですが)そうした場を作るのはとても難しいことで……。
『ぽえ茶』でどれだけ自分がよくしてもらったか、みんなが楽しんでいたか、あらためて存在の大きさを感じます。自分はとても恵まれていたんだなって。

   *

 正木さんの『ラッキー』のあと、林本さんが『鳥の日』を読んで、会は終了しました。残った景品をみんなに分けようということで、二度目のくじびきが行われました。桑原さんは東京にはあまりない「サガミ」のお食事券が当たってしまったと笑ってました。

 本会の散会後、『神宮茶屋』さんにお礼を述べて店を出て、いつも通り熱田神宮を横切り『めん串』さんで二次会をしました(水尾さんは二次会からの参加でした、全員で13人ぐらい居たかな)。桑原さんがなにやら恋愛についてモソモソ言ってたなあ。熊瀬さんとデジカメの話もしましたね。林本さんは亀フィギュアを組み立てて喜んでくれてました。レモンさんレイさんは二人でひとつのうどんをすすりあってました。いやー、なんというかー、このー、まー。7月初頭の『UPJ3』名古屋プレイベントについてちょこっと打ち合わせもしました。

 二次会の散会後、水尾さんが「いい喫茶店を見つけた」というので残った数人で行ってみたのですが、そこは夜間は閉店してました。がーん。重い本を抱えて歩いたのに。ああ、本はホンマに重かった……いやシャレではなく。
 移動しなおして、林本さん・岡本さん・水尾さん・てっちゃんと熱田駅の『スターバックス』でお茶しました。mixiとは何かとか、それはエロいとかそんな話をしてました。結局『スターバックス』の閉店まで話してましたね。

 みなさんと別れ、帰りの電車でひとり、今回の『ぽえ茶』の録音を聞いてました。でもついウトウト・コックリコックリと眠ってしまって。一駅ごとにアナウンスで目覚める・ひざの上の本を抱え直す・またウトウトする、その繰り返しでした。いやぁ、寝てしまうと移動もあっというまですね。感傷にひたるヒマも無かったさぁ(笑)。

   *

 ……。『ぽえ茶』には、悪い思い出はひとつもありません。でも自分が忘れてしまっただけで、いろいろ失礼もしたことと思います。

 林本さん、『神宮茶屋』さん、おつかれさまでした。ありがとうございました。みなさん、感謝しています。

   *

 さて、買いすぎた本を消化しないとなあ(笑)。
posted by 若原光彦 at 22:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 近況
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