2005年05月30日

書籍『しあわせな葉っぱ』

 書名を日本語変換したら『幸せな発破』と出てしまい仰天したところです。……ま、それはともかく。

   *

 絵本です。文庫本でたまにある「写真に詩が付いた本」や「イラストにポエムが付いた本」って私は苦手なんですが……この本はとてもしっくり来ました。甘い言葉がならべられて行くのではなくて、ちゃんとお話があって、一喜一憂しながら物語が進んでいく。

 主人公は中学生ぐらいの女の子。ある日めざめると、あたまのてっぺんから双葉がぴょこっと生えていました。切っても切っても、またすぐ生えてくる。すぐのどが渇くようにもなってしまった。何故か他人には見えないらしいけど、こんなの嫌だなあ……と思いながら女の子は葉っぱ付きのまま生活していきます。
 このシチュエーション自体、寓話的でおもしろいのですが、私はあいまあいまのひとコマが好きです。のどが渇いて夜中にお茶漬けを食べているシーンで「そうだ」と思いつき、葉っぱをちぎってお茶漬けにふりかけていたり。恋敵を「……ってなっちゃえ」と空想し「ああ…… わたしって、悪魔のようだわ」と自己嫌悪したり。おもしろいです、おもしろいけど当人には大事態でおもしろくもなんともないという、ちょっとダークな所も魅力だったり。

   *

 この本のはじまりにこんな言葉が書かれています。

かみさま
どうか
どうか
ハッピーエンドに
してください


 読んだ瞬間にぎゅっと胸が苦しくなりました(似合わないとか言うな、そこ!)。また、あとがきには、このお話が書かれたきっかけが記されています。

 毎日生きていく中で、いつも見えているのに見えないもの。感じているのに感じていると、気がつかないでいること──それが、少しのきっかけで、くるりと見つかって、景色が変わる時の、心がびっくりする感じや、目の前が晴れていく感じ──
 そんなのを、愛しい気持ちで描いてみたいと思いました。


「葉っぱ」の、緑でつやつやでわさわさしたイメージ。それは、この本を読んで私の胸に残ったものと同じでした。なんだかちくちくするけれど、すずしい。

   ◆

書名:しあわせな葉っぱ
副題:ミエナイ草(ソウ)の話
英題:Troublesome,but my lovely leaves.
著者:おーなり由子(おーなりゆうこ)
おーなり由子HP*Blanco
http://www10.plala.or.jp/Blanco/
発行:株式会社新潮社
レーベル:新潮文庫
平成15年7月1日 発行
ISBN4-10-127823-7 C0193(本体476円)

   ◆

 蛇足ですけれど。おーなりさんのサイト、すごく素敵でした。訪れたひとがほんのりいい気分になってその場を去れるような。いいな。すてきだな。
posted by 若原光彦 at 17:48 | Comment(1) | TrackBack(0) | 書籍
この記事へのコメント
おーなりさんのサイト見て来ました。
豆アニメがすごくよかった。
Posted by 林本ひろみ at 2005年05月30日 23:23
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