雪、降りましたね。寒くなりましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。イカはいかがわし過ぎるでしょうか。一家が一缶を茶こしでしょうか。
……。何の話でしたっけ。
それにしても、何で私はこんな文が書けるんだろう……。あ、そうか。恥知らずだからだ。うわあい……喜ぶなッ。
さてと、冒頭ギター漫談はこれぐらいにして……。
*
大阪、行ってまいりました。倹約のため在来線を使うつもりだったのですが、JRの窓口まで行くと「シャトルきっぷ」のPOPが目に入りました。これは「米原⇔新大阪」の新幹線自由席が格安で使えるというもの。在来線で行くのと、往復で1000円くらいしか違わない。
……大阪まで行くのに、1000円ばかしけちってもしょうがなかろう、というわけで「シャトルきっぷ」を買いました。券売機で売ってたけど……券売機で6060円のきっぷ買うのって、ちょっと怖かったです。ボタン押し間違えたらどうしようとか。変なもの出てきたらどうしようとか。
変なものって何だろう。わかりません。とりあえず出てきませんでしたよ。
会場、とても面白い場所にありました。失礼を承知で言えば「廃墟」でした。そのビルは埠頭にあり、昔はフェリー乗り場だったらしいのですが、今は地元商店街が貸し出す形でブースがレンタルされているようでした。アート作家さんの工房があったり、カフェが入っていたり、会場の『SOUNDBAR吟遊詩人』さんが入っていたり。
二階建ての平たい建物なんですが、気まぐれに二階に上ってみると……雨漏りがバケツで受けてありました。蛍光灯がほとんど取り外されていました。窓ガラスが幾つか割れていて、ベランダの出入り口には「このベランダは危険のため立入禁止」との貼り紙がありました。建物の入口には「建物内では一切の撮影を禁止します」また「不審者対策のためトイレのみのご利用お断りします」との貼り紙もありました。……すごい。なんか落ち着く。なぜだろう。
私は少年時代、母の田舎に行けば屋根裏まで歩き回り探検する子供でした。ああ、その血が騒ぐ……ベランダ出たい、屋上行きたい、潜伏して取り残されてみたい……とちょっとだけ思いました。撮影はしませんでしたが、どこを撮っても絵になる空間でした。
廃墟とアートが隣り合わせの不思議な建物でしたが、会場の『SOUNDBAR吟遊詩人』さんは、入ってみると『clabBL』さんに近い感じがして落ち着きました。本棚があって、旅の本とか詩集とか『伝染るんです。』とか、面白い本がいっぱい置かれてました。反対側の壁には、いろんな顔が笑ったり楽器を弾いたりしているペイントが施されていました。開演中、薄暗い中でふと『あれっ、あんな人いたかな』とヒヤッとし、よく見るとその絵の顔だったりしました。暗がりだと壁に溶け込んでしまうけど、よく見ると陽気で活気があって、顔がそれぞれで……居心地のよい絵でした。描かれている顔ごとに表情が微妙に違ってね、躍動感があってね……うーん、絵のことを言葉で言うのは難しいんですけれど。
*
ライブは、結構押していたんですが好感触で終わりました。しげかねとおるさんの詩は凄かったです。妄想が膨らんで夢オチするような内容が多かったんですが、それは卑怯でも稚拙でもなく、むしろ逆で。引き込んで引き込んで、めまぐるしく展開して、最後に現実に戻ってくる。「どうやったら天井にゲロが付くのか俺にはわからない」なんて。悲しいのだけれど笑える、心地よい着地。
おしゃれにも感じるし、男の哀愁も感じるし、カッコよさも感じるし……どれだけ聞いていても飽きないステージでした。よかった。聞けてよかった。詩作品としてもとても完成されたものでした。「犬語翻訳機を野良犬に付けてみたら、彼はビンラディンへの復習を語りだした『俺は子犬だが、かえって奴をめろめろにして膝の上で小便して奴を困らせることが出来るのだ』」という作品とか。くうーっ、イカす……。面白いけどそれだけじゃなくて、ちゃんと詩でもあって、それ以上でもあって。すごいな……。
自分のステージは、後日の奈良でのライブと重ならない作品を選び、9作を約30分、ほぼぶっ通しで読みました。この日はじめて人前で呼んだ作品もありました。『悪への誘い』という、詩というか小話みたいなのもやりました。
小さい会場ということもあり、お客さんは12人ぐらいだったと思うのですが……みなさん注目して聞いてくれていました。店の外で受付してらした方も、店内を覗き込んでくれていました。嬉しかった。ほっとした。立つ前までは『今日は完全にアウェーだ……』『イタいことやってイタい奴だと思われて傷心で帰ることになるのだ……』とテンションも停滞していました。でもやってみたら、トチっても噛んでも吹っ切って押せた。序盤は笑わせ、中盤は真剣に聞いてもらい、最後にまた笑ってもらう、といった組み立てもうまくいきました。ああ、よかった……本当によかった。うまく済んでよかった……。
いま思い出しても『よかった……』とつくづく思います。無事に済んでよかった。どうなることかと思った。よかった……。
30分という長い時間をひとりで務めたのは初めてだったのですが、ちょっと自信になりました。
小笠原さんはあいかわらずカッコよく、しかし非日常的でもあり、土の匂いのするようなホッとする感じもあり……魅力的な方でした。
司会・スタッフを担当されたタキガワさんも凄かった。司会をされたのは今回が初めてだとのことでしたが、人のさばき方もMCも、ソフトなのにキビキビした声や喋りでした。よく動き、よく働いておられました。あんな人がいるととてもイベントはやりやすいだろうなあ、と思ってしまいました。あとで人に聞いた話では、タキガワさんは演劇関係で活動されている方なのだそうです。そういえば桑原さんやレモンさんも演劇に関わってたっけ……やっぱりイベントの筋道メリハリ礼儀仁義を身に着けるには、演劇ってすごく役立つんだろうか……。
*
終幕後は、アンケートを見せてもらったりちょっと雑談したりして、みなさんと別れました。当初は会場で朝まで居つかせてもらうつもりだったのですが、プリントアウトして持ってきた地図をよく見ると『すかいらーく』があることがわかって。『私ひとりしか居ないのに会場を開け続けてもらうのも悪いしな……』というわけで、そちらに向かいました。『すかいらーく』が朝までやってるかどうかはわからなかったんだけど。
移動してみると、その店は24時間営業でした。ああ、よかった……。ドリンクバーにココアが無かったのが不満でしたが、とりあえずひと安心。店内のお客さんたちが関西弁で痴話喧嘩やら仕事の愚痴やらをまくし立ててるのにビビりましたが、すぐに慣れました。
店内では読むものがあったのでがっつり読んで……意外とねむけは襲ってこなくて。録音して持ってきた『NHKFMシアター』の『となり町戦争』を聞いて。どことなくイヤーな気分になって。耳はイヤーと英語で言って。年もイヤーと英語で言って。いや、言ってませんけどそれはともかく。
そういえば。私は普段、ファミレスに入ってもドリンクバーだけで居座るのですが、メニューの『野菜たっぷりあんかけ海老ラーメン』があまりに美味しそうなので……つい注文してしまいました。これまた『大阪まで来て1000円ばかしケチってもしょうがあるまい』という無謀な論理だったんですけど。
うまかったです、あんかけラーメン。スープがあんかけ状態でとろみがあるからか、保温性能がすごく高かった。ちょっとづつ食べてもなかなか冷めない。スープは冷めても麺は冷めない。あんかけだからか腹にもたまる。うむ、うまい。
麺はダルダルで『ああ、まあ、ファミレスだし』って感じでしたけど。妙においしく感じたな……。
*
そして夜明かしして5日(月)、朝6時。ファミレスを出て、地下鉄に乗り新大阪へ。新幹線「のぞみ」は米原に止まらないし「ひかり」は自由席が少ないので、ぼんやりと「こだま」まで待っていると……熱海のあたりでレールに故障が出たらしい。関西よりさらに西で、大雪のため新幹線が遅れているらしい。結局、駅の待合室で1時間近く、ホームで20分近く待ちました。乗れたのは8時半ごろだったかな。電車の遅れを取り戻すためか、新幹線は停車後2分と経たずにすぐ発進。
席に着いたとたん、意識が朦朧としました。ねむけが襲ってきた……。でもここで寝てしまうと最悪東京まで送り飛ばされてしまう。寝るわけにはいかん……寝てはならん……。根性で目を開けて米原で乗り換え。米原からのJR車内でも『寝てはいかん……寝ると死ぬぞ……』。かなり危ない表情してたと思います、つばのある帽子かぶってましたけど。いや、だからこそ不審人物だったかも。
ずっとうつむいて片目だけ寝たり(無理がありますよね。でもねむけがやわらぐんですよ)して……ふと窓の外を見ると、粉雪が舞っていました。肉眼でも見えるか見えないかぐらいの降り方だけど、先頭車両に乗っていたので列車の頭に迫る雪がよくわかりました。冬だ。雪だ。眠い。寒そう……。
列車から降りたら本当に寒かった。自動車や列車では「わりと寒い日」ぐらいだったでしょうが、自転車で帰る私としては「まごうことなき吹雪」でした。自転車を漕いで体温も上がってきてる筈なんだけど、どこまでも寒い。あまりに寒くて鼓膜が痛くなってきた。頭がガンガンしてきた。もう帰るのやめて道端に座りこんでようかしら……。
んなこと言っててもしょうがないので『漕げよマイケル』を口ずさみながらペダルを漕ぎ、どうにかこうにか帰宅しました。でもその後はずっと、風呂に入っても着替えても寝ても、頭が痛かったです。熱や鼻水はありませんが、今もまだ食欲がありません。煙草を吸いすぎただけなのかな。
*
といった感じで、大阪へ行き、帰ってきました。どこにも寄り道せず。
新幹線を使ったのは正解でした。行きは在来線でもよかったんですが、帰りが鈍行だったら今ごろ寝込んでたと思います。メコンデルタと思います。ネアンデルタールと申します。申しません。申しませぬ。もうしませぬ、もうしませぬ、許してたもうれ母様。
本当なら「かかさま」としたかったんですが、ひらがなが続くと読みづらいので泣く泣く「母様」としました。句読点を打つとリズムが崩れるし。ああ、無念です。……。何の話だ。
……ふう。とりあえず大きな予定がひとつ完了しました。これで来週まではゆっくりできそうです。
2005年12月07日
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