
学習室とかホールとかではなくて、図書室。本棚がいっぱい並んでいて、窓がでかくて日当たりが強くて、明るくて暖かくて、狭い。テーブルをどけて作ったような、数畳ほどのスペースに目一杯パイプ椅子が並べられており、そこが会場になっている。ステージは窓際の通路。ステージ脇には谷川さんや桑原さんが無表情で座っている。私は出番を控えており、客から見えないよう、会場から数メートル離れた本棚の後ろに隠れている。
誰かのリーディングが終わって、司会の女性(顔は見えない。声にも聞き憶えがない)が「ありがとうございました。次は○○さんです」といった簡素なMCをした。『自分の番か』と身をこわばらせたが、違ったらしい。某さんが本棚のあいだからステージに出て行った。
某さんのリーディングが終わると、司会の女性が再び簡素なMCをした。「ありがとうございました。次は若原光彦さんです」。今度は本当に私の番らしい。『よし行くぞ』と私が出て行こうとすると司会の女性がポソッと何かしゃべり始めた。『うわっ、まだだったか』と私は慌てて本棚に身を戻した。すると女性がしゃべるのをやめた。『終わったか。今だ』と私は再び出て行こうとする、とまた女性がちょっとしゃべった。タイミングが掴めない。気まずい。
『もしかしてこの司会の人は、私が出てこないから場繋ぎとして話してくれてるのかな。だとしたらこのまま女性がしゃべり終わるのを待っていても無駄だな。出て行かなきゃ』。女性はまだ何かポツポツ言っていたが、私は本棚の間から飛び出しステージ側に歩んだ。ステージの両脇には、谷川さんや桑原さんが当初からの無表情で座っていた。
ステージに立って客席に顔を向けると、これまた全員が無表情だったので背筋が凍りついた。そういえばここまでの演目で、一度も拍手の音を聞いていない。いったい、何が起きている。
私はマイクを握り『いやぁ〜こういう密集した場所でやるのも緊張しますねぇ〜』とか下らない、言わんでいいことを照れ隠しに語り始めてしまう。全員の無表情が突き刺さる。異様で、圧倒的で、意味不明で恐ろしい。冷や汗がツーッと背中を流れた。室内は明るくポカポカとしているのに、悪寒がして止まらない。
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しかし怖い夢でした。考えようによっては豪華で、平穏で、何事もなくて、面白い状況だったのかもしれないけど。なにも『曲々玉々』が迫った今あんな夢見なくてもなぁ。いや、今だからこそ見たのかな。
