2008年11月下旬。PCが「死のエラー」をブチ食らいました。
C0000218エラー(UNKNOWN HARD ERROR)を考える記事
http://park12.wakwak.com/~iktryc/diary/2004/c0000218.html
「UNKNOWN HARD ERROR」。「未知のド硬ぇ異常でやンして」ってンなこと言われても困っちまいます。しゃらくせえリカバリしてやるぞこんにゃろう! ……は無事成功。このごろは小まめにバックアップを取るようにしてたので、損害は軽微で済みました。
って書くと簡単ですけどね、あーたそらもうねー、なんちゅうかねー。
リカバリ完了して、Windows XP SP1当ててSP2当ててSP3当てて、残りのWindows Updateも全部当てて、不要なプリインストールソフトをアンインストールして、Dドライブ構成物をバックアップからコピーして、あれこれのインストーラをネット上からかき集めてインストールして再設定して。システムの復元やら仮想メモリやら自動更新やらなんやらかんやら、リカバリ直後しか触らないようなところも全部再設定して。
「ふいー。やれやれだ」と思ったらテキストエディタのマクロや強調表示が全部なくなってて。バックアップを探したけどこの部分はバックアップし忘れてて。うんぎゃあー! 長年かかって育てた私のマクロが強調表示があー! うがあー! こんな素のエディタなんか使えるもんかー! 効率がめちゃくちゃ悪くってたまらねえったらありゃしねえったらべらぼうめったらコンコンチキの畜生めー!
それから連日、正規表現を書きまくってですね……。疲れた。非常に疲れました。
*
ともあれ、時間はかかりましたが環境は元通り。まあ「ブルースクリーンの後遺症かな、不良セクタが増えたっぽいぞ」「CRCエラー? はじめて見たぞ」ぐらいの変化で済みま……済んでないです。不良セクタ増加、データエラー発生って、冷静に考えれば大事態なんですけどこの時点ではまだ気づいてませんでした。ハードウェアの問題だとは思ってませんでした。
次の事件は12月下旬。ログオン後、いきなりフリーズ発生。どうにもならないので強制電源オフして再起動、その後はログオン画面の前で止まるようになっちゃった。どうも、起動処理のどこかで引っかかって止まっているっぽい。Dドライブの論理障害くさいけど、それだけじゃないのかもしれない。ログオンできないため、状況がよくわからない。
どうしようもないので、またリカバリしました。そしてSP1当ててSP2当ててSP3当てて、もろもろをバックアップから再配置して再設定して……。
疲れましたけど、今回はスピーディに済みました。前回からすぐでしたからね。バックアップの取り方もシンプルかつ完全にしてあったし。インストーラはDVD-Rに確保してあったし。前回よりは短時間で復帰できました。
しかし。エラーチェックをしてみると、ファイルが数個、復元されたり抹消されたりする。不良セクタも増えている。症状はDドライブにしか起きていないので、Cドライブのシステムは無事なんですが……やばい。これはやばい。やばいけど使えるけどやばいよこれは。
ようやく気づきました。このHDD、死にかけてる。対処を考えねば。
とまあ「とりあえず使えてる」からと、対処を先延ばしにしてのらりくらりしてたら、ついに2009年1月上旬。またしてもログオンできなくなりました。今回は症状が一段進行し、セーフモードなどを選ぶ黒い画面が出てループする状態。どの選択肢を選んでも一瞬ブルースクリーンが映り、勝手に再起動、黒画面に戻ってきてしまう。ダメだこりゃ。ついにシステムまで障害が及んできたかー。そりゃそうだー。いつかはこうなるとわかってたんだー。
リカバリを実行し、それ自体は成功したんですけれども。Windows Update作業でフリーズしました。ああもう終わりだ。潮時だ。
◆
で。どうするか。方策は幾つか。
ひとつは、HDDの換装。ただ、私のPCは2002年当時のメーカー製、HDDは40GBでした。今これと同じメーカー、同じ容量のHDDなんて売ってないだろう。メーカー製PCのHDDを、他社性、他容量のHDDに換装して大丈夫だろうか? リカバリすらまともにできんのではないか?
ふたつめは、低価格PCの購入。最近は低価格ミニノートってのが出てます。2002年当時のPCと性能的にもどっこいどっこい。ネットに繋ぐだけならそれでも充分だから、選択肢としては無くも無いかな……。でもノートPCのあのキーボードってどうも好きになれんのだよな……。モバイルのニーズもないしな……。
第三の案が、デスクトップPC新調。常識的に考えれば、もう買い替え時期だろうと。6年も使い倒したんなら、そろそろ新調していいんじゃなかろうかと。
ですけどね……。私はWindows Vistaが嫌いなんですよ。外見的にも機能的にも馴染めない。今デスクトップPCを買いたくない。せめて次のWindowsまで見送りたい。Vistaは絶対に嫌だ。
かといって今さらWindows XPのPCを購入するってのもなあ……。
ほかには「安く自作PC or 中古PCを入手しLinuxで使う」って手も考えましたが……私には敷居が高すぎますし、Windowsでなくなると愛用のいろんなソフトが使えなくなります。ちと難しい。
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結局、バクチを打つ決断をしました。HDDを購入し、換装する。メーカー製PCのHDDを換装していいもんなのかわからないし、もしダメだった場合は無駄な買い物になってしまうけど。他の案がイヤだってんだから、これっきゃあるめぇべらんめえ。
PCパーツの世界はほぼ何も知らないので、まずメモを取りました。メモを店に持って行き「このタイプのHDD」だと店員に示せるように。PC筐体のカバーを外し、HDDを取り外して、コネクタやら表記やらを全部書き写しました。
本当は写真を撮ればよかったんでしょうけど。PCが壊れてるってんですからプリンタもデジカメも使えません。手書きで書き写しました。……学生時代以来ですよ、大学ノートに図なんて書いたのは。定規を使わずに書いたもんだから、直線がへにゃへにゃになってましたねぇ。ノート整理の天才とうたわれた私も長年のブランクで腕が鈍ったか……。
あ、CPUの冷却ファンが汚れてうるさくなっていたので。これも買い換えてみようと、取り外しました。
◆
そして決戦当日。2009年1月14日、水曜日。名古屋八事のオープンマイク『詩のあるからだ』、2009年1回めでした。
この開催前に、名古屋の大須(おおす)へ立ち寄り、HDDと冷却ファンを買う! 店員をひっつかまえてアドバイスを乞う! どうなっても恨みっこなし! ……メモとファンを荷に入れて、いざ大須へ。
大須、ってのは電気関係の店と古着屋が多くある地域です。演芸場、観音菩薩、質屋もあります。変なとこです。大阪の日本橋とも、東京の秋葉原とも違う。もうちょっと庶民的な感じ。でも凝縮された濃さに面食らいもする。新しいのか古いのかよくわからない、家電街や繁華街とも違う、独特の雰囲気があります。
向かうお店は最初から決めてました。「でかいとこに行こう」と。「スタッフが多いところなら、アドバイスも受けやすいだろうし、商品の品揃えも広いだろう」と。
目標の店に入り、自作PCパーツのフロアへ行き、棚をぐるっと1周。うあー、予想はしてたけど、どの商品にも説明が全くない。ファンだけでも大小さまざま並んでる。ボルトとかアンペアとかがシールに書かれてるだけの状態で、透明な袋に入って売られてる。どれが何なのか全くわからない。予想はしてたけど、こりゃ素人お断りな状況だ……。
HDDの方も似たようなもので。まず専門用語(規格を示してるらしい)がわからない。Ultra ATAとSerial ATA、自分のはどっちなのかがわからない。というかどっちがどっちか、どっちも同じものなのか、何がなんだかわからない。こりゃえらいところへ来ちまったぞ……。
このままではラチがあかないので、観念してレジへ向かいました。数人の店員さんがいたんですけど、ほぼ中央にいた、30代ぐらいの男性に「すみません、古いメーカー製PCのハードディスクと冷却ファンを換装したいんですが、アドバイスいただけませんか」と述べ、持ってきたファンとメモを見せました。私がちょっと補足を述べようとすると、男性はメモをざっと見て、何か言いました。
って「何か言いました」ってのもおかしな話だとは思いますが、私が喋りかけたところで何か言われたので、聞こえなかったんですよ。店内には音楽がかかってるし。男性は早口かつ小声でしたし。私は喋りかけた口を止めて「えっ?」と言ってしまったんですけど、これはちょっと失礼な言い方だったかなあ。
男性は「○○ATAですねMaxtorは今ないんで○○でいいですか?」とこれまた早口で、小声でした(MaxtorってのはHDDのメーカー、ブランドです)。むむう。メーカーが変わるか……仕方がない、構わないけれども「1〜2年持てばいいと思ってるだけで、容量は多く要らないので、できれば元と近」い容量のものがあれば、と言いかけたところに「あるのは250GBからです」とこれまた早口に小声で返されました。
いやね……早口で小声なのはいいんですけど、いやそれも困るんですけど、こっちの話を最後まで聞いてから喋ってもらえんだろうか……。そもそもの、根本的なところをまだ聞いてないままに商品を薦められちゃってる。
私はまずメモを見せて、目的を説明して、意見を聞きたかったんです。「そもそも、メーカー製PCのHDDを交換して大丈夫なものだろうか? リカバリ機能がHDDに内蔵されているタイプのメーカーPCではない、リカバリCDとして添付されているタイプなのだが、成功率、条件、その他、どう思われるか?」ってところをまず助言してほしかったんですが……そこはすっ飛ばして「ああHDD買うのね、はいこの規格ね」と進んじゃってる。うーむ。
他に選択肢もないので、HDDは250GBの他社製品に決定(レジ後方の棚に置かれていたので、男性が取りました)。ファンはどこでどう選べばいいんだろ、と思ったら男性、小声で何か言い、ひとりでレジを出て、店内をスタスタ歩いていきました。
突然のことでびっくりしたんですが「ああ、HDDをレジ内の後ろから取ったみたいに、どっかから商品を持ってくるつもりなのか」とレジ前で待っていると、男性が戻ってきてまた早口の小声で何か言いました。ってまたも「何か言いました」もないモンですが、この時「こちらです」と言われたのか「こっちです」と言われたのか「来てください」と言われたのか「選んでください」と言われたのか、それすら判別できなかったんですよ。ただ表情から「あなたが来なくてどうする?」と言ってるんだとわかっただけで。何を言われたのかはわからない……。
とりあえず男性のあとを追って移動。ファンがずらりと並んだ棚の前で、男性と立ち止まりました。
男性がフワッと気まぐれな動作で幾つか商品を指さしはじめましたが……声が聞こえないので「私へ説明している」のか「商品を点検している」のかもわからない。意味もわからず眺めていると、男性が棚の前を離れ、私の後方に下がりました。どうやら今のは「このあたりが適合品だ」と私に示していたらしい。うーむ……。
うむむむむ……わからん!!! ボルト、アンペアはどれもほぼ同じ数字で、コネクタ形状も同じだから、大きさだけ合えばどれでもいいんだろうか。「これは、電圧とか電流の面ではどれでもいいんですか?」と聞くと男性は「はい」とひとこと。じゃあ3つも種類があるのはどうしてなんだ……と商品を手に取りよく見ると、どうやら回転数が違うらしい。冷却効率と駆動音が違ってくるんだろうかなあ。私が「回転数が高いと、それだけ音が大きくなったりするんですか?」と聞くと、男性は「そうですね」とひとこと。ううむ……。
なんというか……必要量も機能差もわからないから選びようがないのだが……。これまで汚れたファンでも冷却できてたわけだし、おそらくうちのPCにはさほど高い回転数は必要ないだろう。と(「そんな判断でいいのか」って自分にツッコミたくなりますが)3種類のあるうちの中間の品にしました。
でですね。今これを書いている時点では最初から気づいてますけども。当時は、ここでやっと気づきました。この男性、聞いたことしか答えない! 悩んでる客に横からアドバイスなんぞしない! むこうから進んで助言してくれたりはしない!
レジへ戻り、すぐさま清算しようとする男性を制して私から質問を放ちました。買うのだが、しかしどうしても聞かねばならんことは聞いておきたい。「そもそもの疑問なんですが、メーカー製PCのハードディスクって交換して大丈夫でしょうか? リカバリ機能がハードディスクにあるタイプではないんですけれども」。2秒ほど間があってから、男性は早口の小声でひとこと。「保証できません」。
もう数秒待っても返答に続きはなく、どう対処していいかわからず、私の口をついて出た言葉は「そうですか。レジお願いします」でした。
清算中、ちらっと男性のネームプレートを見ると、名前の下に「特技:タイピング」とありました。この人とは筆談すれば良かったんだろうか……とちょいとオチをつけたい気持ちになりましたが、同時に自分のその発想に自己嫌悪を感じもしました。いちいち失礼なオチをつけんでよろしい。
*
そんなこんなで。すっかり気おされながらも「やむなし! 恨みっこなし!」の初心を貫徹、HDDとファンを購入。地下鉄の駅まで歩きながら、ぼんやり考えました。
「保証できません」は聞きたくなかったなあ、って。あのタイミングで責任逃れみたいなことを言ってほしくなかった。んがあしかし「どう思いますか?」ではなく「〜でしょうか?」と聞いてしまった私の言い方がまずかったんだろう。私だって、断言を求められる文脈だったらYesかNoか回避を取ります。うかつなことは言いません。当然です。ぬううう……。
しかしなあ、やはりあの場面では責任の所在ではなく一般論をだな……「個別の問題だからなんとも言えない」ならそう言ってくれればだな……専門家からの柔軟なアドバイスを、成否の傾向やら条件やらを豊富な知識と経験からだな……ぬう。私が悪い。
事実だけを見れば、「どうなるかわからん対処」に腹をくくり、「どうなるかわからんが買った」までのことでした。当初の目的は達成されているし、予想通りの反応だったと言えます。初心者お断りのフロアに中途半端な客がまぎれこんで互いのマッチしない部分が増幅、交差し、奇妙な現代劇になっちゃっただけだと……むー。
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その夜。八事の『詩のあるからだ』も無事に終わり、帰宅しました。荷を解いて、分解したままの状態のPCに再会。待たせたなべらんめえ畜生めこの野郎! とHDD、冷却ファンを装着。モニター、キーボード、マウス、各種ケーブルを接続し、すわ電源投入。さあどうなる!!! どうにでもなれ!!! なっちまえ!!!
結果は、この文章がアップされていることからおわかりですね。
◆
以下蛇足。メモ的に書き残します。
・Windows XP SP2は、SP1を経なくても、いきなり適用できる。ただし私の環境では、11月下旬のリカバリ時、SP1を経ずにSP2を適用すると「依然として Web コンテンツ ファイルが縮小表示される」状態になった。原因は不明。HDD換装後の再現実験もしてない。
・Windows XP SP2以上を適用していない場合、HDDが128GBしか認識されない。私が今回換装したHDDは250GBで、SP2適用前はこの128GBしか認識されていなかった。SP2適用後に「管理ツール→コンピュータの管理→記憶域→ディスクの管理」を確認すると、表示に104.89GBの未割り当て領域が加わっていた。
以上、めでたしめでたし。あと1年半はふんばってもらいたいです。Windows XPのサポートが切れる2014年まで、なんて高望みはしませんが。
*
ああ、本当に蛇足ですけど。今回PCが復調し、あらためてネットの有難味を実感しました。困ったことがすぐに調べられる。なんたる素晴らしき文明の利器かと思い知りましたよ。
そして同時に「わからんことは、いっくら調べてもわからん!!!」ってのも思い知りましたよ……。ネット接続可能になってから、今回のことをいろいろ調べてみたのです。メーカー製PCの改造について。HDDの規格について。一般的にどうなんだろうって。
するとまあ……ATAだのUltra ATAだのSerial ATAだのSATAだのATA/133だのATA/100だのIDEだの何だのと、専門用語が略語が細分化がバージョンが下位互換が入り乱れててわかりづらい!!! わからなくはないけど混乱する!!!
いまさらですが、店員さんに感謝です。メモ見せただけで「○○ですね」って品物を出してくれたんだから。接客業っぽくない人だったけど、そもそもそういう世界なんだろうな、自作PCって。総合サポートなんかない、誰のせいでもない、自己責任が基本、という。
2009年01月17日
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パソコンの内容の細かいことは解らないけど、やっていること、会話していることはよーくわかりました。で、立ち直って、動くようになって良かったですね。
久しぶりに、拝読できて、おもしろかった。
苦労してるのに、おもしろがっている、いや、そういう意味ではなく、その、書き方が、いや、内容が、とにかく、良かった。
また動くようになり、あなたもお元気そうで
よかったです。