2006年01月12日

私の司会

 いま帰りました。すぐPC起動してこれを書き始めてます。冷えてるからか、モニターの一部がちょっと滲んでます。いつものことなのでモニターはこの際よろしい。

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 今日は(といっても日付かわってるからもう昨日か。今晩は)『詩のあるからだ』でした。私が主催している名古屋八事のオープンマイクです。

 で……今回……私の司会がぐっだぐだでした。もう、ここ半年でダントツの駄目っぷりだった。オープンマイクの感想言うなら言う、言わないなら言わない、自分の話するならする、しないならしない、何がやりたいんだお前。何も考えずに場当たり的にただ間をつなぐためだけに適当に喋ってるだろう貴様……という。よみくらべスラムの進行でもそうでした。終わりの挨拶すら今考えるとおざなり至極。だめだめだ。そんなんじゃ駄目だ!

 司会進行だけでなく、会の段取り自体めっちゃくちゃでした。いや、まあ、参加者の皆さんが良い方ばかりだから、場が制御不能になるようなことはなかったけれど。もしこれが他地域や他人の会だったら、私は客から依頼者からボッコボコに「アイツしょーもない」って言われてると思う。マイクを使うのか使わないのかはっきりしない。スラムで1位になった人に何を与えるのか、本人に聞いてしまう。つなぎと称して、自分だけ何作もリーディングしてしまう。だめだめだ。だめだ。ダメだダメだダメダメダメ!!!

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 去年なら、こんな司会でも温かく許されたと思うのです、まだ(って去年だろうと一昨年だろうと、駄目なものは駄目だけど)。
『詩のあるからだ』について、時々なんかこう……ままならなさを感じるところがあったのですけれど。参加人数にしても、進行にしても、演目にしても場の空気にしても。色々と。
 今回、気づきました。それらは、私が元凶である。元凶にして、キーである。私が変われば空気ぐらいすぐ変わる。私がいつまでもナヨナヨと『精進します』とか言ってるのがいかんのだ。もっとガッとシャキッとザバッと踏み出さなくてどうするのだ。いつまでもひとに頼って求めていてはいか────ん!!! いつまでも試行錯誤しててはなら────ん!!! 自発的に一人前にしっかりせんか──────────!!!

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『詩のあるからだ』の主催を受け持った最初の1〜3回は、実は「Qシート」を作ってました。いや「Qシート」というか「台本」というか「進行表」というか、そういうものです。どこでどのセリフを言い、どこでどんな司会をし、このあたりにはこのトーンが必要で、こうなった場合にはこう処理し、ここまででここまでをクリアさせておき……といった要点をまとめた、主催・司会進行用のメモです。
『準備しとかないと、私にろくな司会ができる筈ない』と思って作りましたが、しかし実際はシートに沿って会を進めてもちっとも面白くなかった。窮屈だし、なにか場も自分も乾燥してしまう。もともと、紙の通りに進むはずもない。私がアドリブで自然なことを出す方が、場がウケたり賑わったりする。あまり作為的になり過ぎず、自然に湧くものを捕らえるようにしていこう……。そして緩やかに無作為に回を重ねたのが去年の『詩のあるからだ』でした。
 ……が、今晩は違いました。成り行き任せ・自然体の司会では気の利いた発言が出てこない。淡々と抑揚もなく、素のまま喋って救いようなくスベる。……イタい。やばい。これはまずい。非常にまずい。
 帰りの電車でウーウーうなって考えたのですが。来月はもう一度「Qシート」を準備しようと思っています。もちろん完全にシートの通りに進行するつもりはないのだけれど、それでも。あった方が、ぐだぐだになる事態がちょっとでも予防できるのではないかと思っています。

 あと……私はリーディングでは、作品ごとに「キャラ」というか「声や人格のスペクトル」みたいなものを見つけて読んでいます。「演技」というほどのものではないけれど、素の若原などでは決してない。読む作品ごとに、自分の出力に補正をかけている。
 司会でも「司会用のキャラ」を見つけ出せれば落ち着けるし、下手も打たずに済むのではないか。皆さんが安心して見られるようになるのではないか……。
 これまで『司会は、これから徐々に上達していくだろう』と思って(つまりほぼ無作戦で)いましたが……もっと明確に、キャラを探していこう(キャラって言うとあれですけど。心の持ちようというか、姿勢というか、モードというか……そういうことです)。でないと場当たり的にしかヒットが打てない。場の空気も安定しない。

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 以前に書いた通り、基本的には「楽しい会を目指します」。進行システムも(少なくとも)3月までは現状のままです。
 でも私は、私自身は次回からもう変わらないといけない。真面目に取り組まなきゃいけない。ちゃんと準備して、ちゃんと仕切らなきゃいけない。だらけてないで、しっかりしないと、全方向・全周囲に悪い。
 基本的には楽しい会を目指します。でも、私までのほほんと、楽しみもてなされてちゃいけない。何に問題があるって、私に問題がある。会のもろもろは自分のせいである。当たり前だ……。当たり前のことなのですが、今回それを再認識しました。

 正直、司会とかフリートークとかの能力がどうやったら身につくのか、皆目見当つきません。『プレゼンのハウツー本とか読めばいいのか……』とも思いましたが、本の知識で実践が身に着くはずもない。感覚を研ぎ澄まして、真剣に当たる以外にない。
 でも本は図書館で探してみようかな……心得のヒントぐらいは得られるかもしれない。

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 そうだ、胃ですが、あれから医者には行っていません。あのあと2日で「こみ上げ」は消えました。様子見したままで年末年始を過ぎ、再発もせず、けっきょく医者に行かずじまいです。胃ンなか見たわけじゃありませんが、たぶん健康です。
 うちではいつも素足で過ごしていたため、足の指はシモヤケになってますけど。……冬でもつま先に鉄板入ってる安全靴なんか履いてるからかなあ。

 明日(……ってもう今日か)の夜は、また名古屋に行きます。『clubBL』さんで、レモンさん企画の「みんなで他人の作品ばかり読むミニライブ」があるんです。とても楽しみです。いろんな人の裏側が見れるかもしれないし、いろんな才能を発見させられるかもしれない。趣味や育ちがバレるかもしれないし、逆に狙ってキメたものが出てくるのかもしれない。
 普段のみなさんのスタイルとは違ったものが見られると思います。テキストも、それぞれが最高のものを選んでくるでしょうし。飛び道具もあるかもしれないし。楽しみです。
posted by 若原光彦 at 02:50 | Comment(3) | TrackBack(0) | リーディング

2005年09月16日

9月『詩のあるからだ』反省

 書こうか書くまいか悩んだのですが、やはり書いておきます。

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 昨日(9月14日)の『詩のあるからだ』、みなさんありがとうございました。

 今回、自分は「よみくらべスラム」で『正直がっかりしている』『この詞はもっと激しいものだと思う』といったことを言いました。

 そんなことを言った理由のひとつには、私にあの詞に対してそれなりの思い入れがあったからです。会の中でも少し話しましたが、某インタビュー番組を見てあのバンドに引かれ、『UPJ3』に出かける前に歌詞をネットで検索し、印刷して読みました。レビュー・評論的なことはここでは避けますが、とにかく私の中に私なりの「読み方」や「像」がしっかり出来上がっていた訳です。
 だから自分の価値観にあわない朗読を、非難してしまったのでしょう。

 また、オープンマイクというイベントに対する悩みも原因のひとつです。
 少し話がズレますが、オープンマイクはリーディングの鍛錬の場でもあり、趣味の集まりのうたげでもあり、一般客が詩に触れる開かれた場でもあります。
『詩のあるからだ』は開始半年以上になりますが、どの性質にもあまり進展がありません。趣味の集まりとして「めちゃくちゃ楽しい場」という訳でもないし、一般の人々が「いいもの見ちゃった」「面白いのがあるから行ってみない?」と思うこともない。何より、オープンマイクやスラムで「それぞれの向上や意外性」が見られない。ただの惰性的な集まりになっているのではないか。ここ二回ほど、自分にそんな不安や迷いがありました。
 オープンマイクは誰でも参加できる、比較的に敷居が低いイベントですが、そんなイベント形式でも、本気の挑戦者が見たかったんです。スラムも、ただのゲームとして技術的に遊ぶのではなく、本気で詩を読み込んだ朗読が見たかったんです。自分に出来もしないことを、突然ひとに求めてしまった。

 もうひとつ。先週『UPJ3』に行き、数日後には飛騨へ親類の葬儀に行っていました(この件は詳しくは書きません)。
 うまく言えませんが……。死や残された者の悲しみといった超シリアスな状況から日常に帰還し、ここ数日、私は日常のヌルさや感覚の鈍さに罪悪感というか……気持ち悪さを感じていました。前項にも通じるのですが、私はこの日、愛やひたむきさといったことを生々しく感じさせて欲しかったんです。

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 簡単にまとめれば、私の心が狭く不自由になっていたということです。八つ当たりも甚だしい。反省しています。

 オープンマイクの参加理由や目的はそれぞれにあり、主催の側で枠をはめることはできません。好みや志向の違う人を非難することも、発展的でない。それぞれの考え方がそれぞれに伸びたり達成されたりすることに意味がある。主催だからといって押し付けをしていいわけじゃない。
『詩のあるからだ』では、毎回、常連さんたちにすごく助けられていると感じています。本当に感謝しています。なのに今回、みなさんに若原の考えを押し付けてしまった。オープンマイクの自由さや温かみを主催みずから壊してしまった。反省しています。

 オープンマイクの役割や『詩のあるからだ』の方向性については、まだ明確な答が出せていません。ただ今回『「基本的に楽しく」ありたい、それを最優先事項にしよう』と思いました。

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 上記は「謝罪や反省」というより「分析・説明・言い訳・弁解」のようなものになってしまったかもしれません。ただ、帰り道になって「自分の何が問題だったのか」考えがまとまってきたので、書きました。

「自戒」という意味が強いのかもしれません。

 とりあえず、楽しい会を目指したいです。
posted by 若原光彦 at 00:40 | Comment(1) | TrackBack(0) | リーディング